ぴーの毛球症

1997年1月28日

ここ数日ぴーの食欲がおちている。食べることが大好きな子なのにどうしたんだろう?ペレットがいつも残っている。


1月30日

 相変わらず、ぴーの食欲は低下。ペレットをあまり食べていない為、おのずとフンも小さくなっている。直径2〜3ミリ程度。子うさぎ並。人参、キャベツ等の野菜も端のほうをちょっとかじる程度。大好きなクッキーすら、あまり食べたがらない。
毛づやが非常に悪い。このところ毛変わりなのか、抜け毛がさかん。そのせいか?


1月31日

ペレットを全く食べない。クッキーは、かじるけれど全部は食べない。水は飲む。昨日の晩から全くフンをしていない。ほとんど食べていないのだから仕方がない。
ケージ内で、調子悪そうにうずくまっている。ちょっと体が熱い感じ。水に整腸剤をまぜて与えて様子を見る。


2月1日

(症状が出た日なので、詳細に書きます。)

症状の発見
  朝起きて、ごはんを与えようと、ぴーを見ると、あきらかにおかしい。丸くうずくまって目をつぶり、小刻みに震えている。さらに耳・鼻がピンクではなく白っぽい。慌ててぴーに触れてみると、「冷たい!」
大慌てで、ケージからぴーを抱き上げる。全く抵抗しない。おかしいので、さらにぴーの体をひざの上でひっくり返してみるが、されるがままで抵抗しない。普段のぴーからは考えられないこと。抱っこ大嫌い、B面返しなんてもってのほかのうさぎなのに。暴れる元気もなく、体温が恐ろしく下がっているので、保温の為、体をバスタオルでくるみ、抱きしめる。 あまりに冷たく、動かないので、正直なところ死んでしまうのでは?という怖い考えが浮かんだ。うさぎと暮らしてから体験する初めての危機に、ただ「ぴーちゃん、しっかり!神様、お願いだからぴーちゃんを連れてかないで!」と泣き叫んでいた。しかしそれではいけない、そんな考えは捨てて助けてあげなくてはと自分を戒める。

病院探し
近くに病院がないか、電話帳で探す。電話帳で見つけた病院に、うさぎを診察してもらえるかどうかを確認する為電話を入れる。症状を話すと、診察できるとのこと。
 タオルで保温をしてぴーを連れて行く。

病院での診察
先生がまず触診を行う。お腹に手を当てて、少々力を入れてもむ感じ。お腹に何か柔らかいものが詰まっているようだというので、レントゲンで確認してもらう。
 
  レントゲンの結果、お腹全体に白っぽいもやのようなものが見える。
何かがぱんぱんに詰まっている。また、もやの中に、黒い小さな箇所がある。その黒いところは、お腹に異物が詰まった為に発生したガス。ガスが出ているということは、発酵してしまっていて相当苦しいはず。詰まっているものは、何か柔らかいものでしょうとのこと。
  思い当たる節、大あり。まずは、最近抜け毛が多いことからぴーの「毛」。さらに、ベッドの下に、遊び用の「じゅうたんを丸めたトンネル」があるのだが、そのじゅうたんをほどいて遊ぶのが好き。ほどくだけならいいのだが、ぴーが遊んだ後は、なぜかじゅうたんの糸くずがない。つまり、ほどけたところから、じゅうたんを食べていた
この白いもやもやは「毛」と「じゅうたんの糸」だ。

病院での処置
 先生によると、「異物がかなり詰まっているので、切開して取り除くこともできるが、体温低下からみても手術する体力がないと思われるので、無理。このまま家に連れて帰って様子を見て下さい。それでもし体力が回復したら、手術を考えましょう。」とのこと。(内心どうやったら体力が回復するの?)
 この場では、体力をつけるための点滴をうってもらうのみ。首(耳の後ろ)のところに、注射器で、栄養剤を注入。ラクダみたいにコブができる。時間経過とともに体内に吸収されていき、数時間後にはコブはなくなるらしい。

 処方された薬は「ラキサトン」というチューブ状のもの1本。(猫が毛詰まりしたときによく使われる薬)それを決められた量与えていると、フンに混ざって毛が出てくるらしい。さらに、100%パイナップルジュースを与えて、しっかり保温してあげてくださいとのこと。

病院を後にして
 診察して下さった先生は、ぴーにも私にも大変優しく接して、心配そうにして下さいましたが、正直なところ「もう手遅れなの?」と、先生から見放されてしまったような気分。
 「どうしても助けてあげたい!」病院からの帰りがけに、ペットショップで犬猫用の大きな「保温用パネルヒーター」と、小動物用の液体ビタミン剤、整腸剤を購入。さらにスーパーで、生パイナップル、ぴーの好きな野菜、ジュースを与える為のスポイトを購入。右手にぴー、左脇にかなり大きく重いパネルヒーターを抱え、左手にこれでもかというくらい重いパイナップルやキャベツの入った袋を持ち、それでもかなりの猛スピードで家路を急いだ。

家での処置
 家では早速、暖房の風の当たる暖かいところにぴーのケージを移動。ケージの床にパネルヒーターを敷く

  ぴーをタオルで包んだまま、薬を与える。ラキサトンは、水あめみたいにベタベタした薬。そのまま与えるのは難しい為、ラキサトンを生パイナップルを絞ったジュースで溶いてスポイトで飲ませる。飲ませても、ぴーは口を動かすこともない。与えた薬が口からだらだらと流れ出る。仕方がないので、ひざの上でひっくり返して薬を流し込む。その後、タオルで包んだぴーをしばらく抱き、「ごめんね。」を繰り返す。でも、泣いて謝っている場合ではない。治してあげなくては。

相談
 ほかにできることはないのかと思い、入会している某うさぎ関連の会に電話相談してみる。(会員のみ飼育相談を無料でして頂ける)

相談の結果、

病院で処方されたラキサトンを与える
 パパイヤやパイナップル、ヨーグルト等を与える
 食べないと体力が落ちる為、100%野菜ジュースやビタミンを与える
 お腹のマッサージを行う


等のアドバイスを受ける。また、手術に関しては、うさぎは麻酔に弱く、目覚めないケースもあり、その後の生存率が高いとはいえないとのこと。
 人に話し、また、その方が親身になって相談を受けてくれ、的確なアドバイスを下さり、何だか元気がわいてきた。絶対に逝かせたりするものか!
 アドバイスの通り、まずはマッサージ。ぴーのお腹の下に手を当てて「治れ、治れ、治れ」と、まるで呪文を唱えるかのようにくるくるとさする。(少々力を入れて)さらに両手でぴーの体を横から挟み込む形で腹に指をあて、上から下へすーっと手をずらす。約10分間行い、ぴーをケージの中へ返す。
 パネルヒーターの上にぴーを乗せ、さらに体の上にタオルをかけておく。

夜の様子
   夜になっても、あいかわらず体温は低く、食事も全く受け付けない。フンも1粒もでない。
 首のラクダこぶ(栄養剤)がなくなっている。 
 ぴーは、全くといっていいくらい動かない。同じ場所でうずくまる。
 ヒーターの温度に注意する。


2月2日

 体温がやや戻っている。震えはない。 ペレット、野菜は食べない。クッキーはひとかじり。フンはなし。
 ラキサトンの投与。昨日と同様、パイナップルジュースで溶いてスポイトで与える。口を少々動かし、自分で飲み込む。さらに、1日数回お腹マッサージ10分ずつ
 夕方、体力をつけさせる為に、ペレットを水でふやかしたものをぴーの口の中にねじ込み無理やり食べさせるが、あまり受け付けない。仕方がないので、野菜ジュースと乳酸飲料を少々スポイトで与える。 


2月3日

 会社を休んで看病。(←正直に理由を話した。)
 ぴーの状態、処置は昨日と同様。


2月4日

 やっと「フン」が出た!!ラキサトンでくるまれたような感じ、べたべたしたものでコーティングされたようなフンが!小さくて、数こそ少ないけれど(7粒くらい)、良く見ると、フン自体が、毛のかたまりのよう。
 体温も正常。あったかい。
気を抜かずに薬の投与。体をひっくり返すと足をばたつかせて抵抗。正常なときほどの力はないが、元気がでてきた証拠。スポイトで薬を飲ませるようとすると、顔をそむける。これも初めて。スポイトを口の中に入れると、なんとスポイトの先を噛みきられた。薬もいやそうに口を一生懸命動かして飲む。回復してきている。
 マッサージも続ける。お腹の異物、全部出てくれ!
 ペレットは食べないが、レタスやキャベツ等の葉っぱものの野菜は、わずかに食べられるようになった。
 病院の先生に電話。フンが出たのなら、手術の必要なしとのこと。良かった。 午後から会社へ行く。

  この日は数回、毛のかたまりみたいなフンをした。


2月7日

 初めてフンが出はじめてから、毎日徐々に回復してきている。フンの大きさも次第に大きくなり、自ら食べる量も増えた。但し、ペレットは口にしない。葉っぱものの野菜のみ。
 薬・マッサージを続ける。マッサージは気持ち良いらしく、体重をあずけておとなしく受ける。薬の投与は、元気が出てきてからは、非常に大変。タオルにくるんで動けなくしたり、2人がかりで苦労して行っている。スポイトも数本かじられて駄目にした。


2月8日

 少量ではあるが、ぴー自ら初めてペレットを口にする。葉っぱものの野菜を食べる量も増える。クッキーも残さない。だいぶ回復してきたようだ。

  薬の投与・マッサージを行う。


2月10日

ぴーちゃんが死んでしまう!と思った日から数えて今日で10日。体調がおかしくなってからは約2週間。ぴーちゃんやっと正常にもどる。
 ペレットはほぼ並の量食べ、野菜も葉っぱ以外に人参を口にする。クッキーを喜ぶ。食べてしばらくすると、まとまった量のフンが出る。食糞もしている。薬の投与は大暴れ。いつものぴーちゃんだ。ちょっと違うところは、おデブだったぴーちゃんが、スリムに変身したところ。随分と嫌なつらいダイエットだったね。

  今後しばらくは、ラキサトン投与とお腹マッサージを続ける予定。


今回の反省&その後

今回の症状の出はじめと、それに対する勝手な想像は、

  • ごはんを食べなくなる→フンも小さくなり、最終的には出なくなる。
    (便秘かストレスかと思ってしまった。)

  • 毛づやが悪くなる。
    (抜け毛が盛んだったのでその為かと思っていたが、よくよく考えてみると、毛づやが悪くなったのは、食欲が落ちてからのような気もする。)

以上でした。
 うさぎと暮らし始めて、これが初めての「病気体験」。何が何だか訳がわからず、ごはんを受け付けないのも「ストレスや便秘?」くらいに考えていました。
それが大きな間違い。大反省です。天国の一歩手前に行く状態まで、病院に連れて行かなかったのですから・・・。
 今回の症状は自分の抜け毛がお腹にたまってしまう「毛球症」というもの。
でもそれだけではなく、飼い主の不注意で抜け毛以外に「じゅうたん」も詰まっていたと思われます。(毛+異物の毛球症)
 
 この件で、我が家は大改造。このホームページの中の「うさぴーのおうち」でもご紹介の通り、家中のじゅうたん全て、ループ状のものを廃止。うさぎがほどけないものに取り替えました。また、今回の一番の原因となった「穴掘り用じゅうたんトンネル」も、人気があったのですが撤去致しました。

 その後、毛球症には2度となってはおりません。毎日、ボディチェックお腹を触る、目やにはないか?鼻はピンク?体温は?毛づやは?等々)し、抜け毛の時期にはブラッシングもまめに行っています。ちょっとしたことを注意してあげる気遣いが大切なんですよね。  この件以来、ぴーちゃんに大変化!これまでは、とっても高飛車なわがまま娘で、触られるのも嫌がり、なでられている間も逃げるチャンスをうかがっていたのに、回復してからというもの、とっても人間を信頼するようになりました。自分から足元にまとわりついて、「なでて」とせがみます。なでられている間も今までの緊張は見られず、安心しきっています。ただ、気の済むまでなでてあげないと、攻撃を仕掛けてくるところはわがまま娘のままですが・・・。はじめは、うさママに対してのみでしたが、だんだんとうさパパにも同じ態度をとるようになりました。「人間に治してもらった」と思っているのかな?